親権と監護者・監護権
Q1 離婚をしたいのですが,親権者はどのような手続によって決まるのですか。
未成年の子がいる夫婦が離婚をする際には,子の親権者を定めなければなりません。2024年の民法改正により,離婚後も父母が共に親権を持つ「共同親権」が可能となり,父母の協議または裁判所の判断によって,父母の一方または双方を親権者と定めることになりました。
親権者を決めるための具体的な手続は,離婚の方法によって異なります。
協議離婚の場合
父母間の話し合い(協議)によって親権者を定めます。離婚届には親権者を記載する必要があり,この協議がまとまらないと離婚届は受理されません。協議がまとまらない場合や協議ができない場合は,家庭裁判所に調停または審判を申し立てて親権者を定めてもらうことになります。
裁判離婚(調停・審判・訴訟)の場合
調停離婚では,調停手続の中で親権者についての話し合いも行われます。調停で合意に至らない場合,審判や訴訟(判決離婚)に移行し,最終的には裁判所が職権で親権者を指定します。
Q2 裁判所によって親権者が指定される場合,どのような点が重視されるのですか。
裁判所が親権者を指定する際に最も重視されるのは,「子の利益(福祉)」です。どちらの親が親権者となることが,子の健全な成長と幸福にとって最も望ましいかという観点から判断されます。
この「子の利益」を判断するために,以下のような様々な事情が総合的に考慮されます。
父母側の事情
- これまでの監護実績,監護の継続性
- 監護に対する意欲と能力
- 心身の健康状態
- 経済力や家庭環境
- 子に対する愛情の程度
- 親族などからの援助の可否
子側の事情
- 年齢,性別,心身の発育状況
- 兄弟姉妹との関係
- これまでの生活環境への適応状況
- 子自身の意思(子の年齢に応じて尊重されます)
Q3 妻との離婚を考えていますが,妻は私が子供を育てることに反対していないものの,親権は譲らないと言っています。親権者ではない私が子供を育てることは可能なのでしょうか。
はい,可能です。離婚に際して,子の財産管理などを行う「親権者」と,実際に子を引き取って身の回りの世話や教育を行う「監護者」を別々に定めることができます。これを「親権と監護権の分属」といいます。
監護者は,以下の方法で定めることができます。
- 父母の協議:当事者間の話し合いで合意する方法です。
- 家庭裁判所の手続:協議がまとまらない場合や協議ができない場合には,家庭裁判所に調停や審判を申し立てて定めてもらうことができます。
監護者に指定された親は,子と生活を共にし,身の回りの世話やしつけ,教育などを行う権利と義務を負います。一方,親権者は子の財産管理や法律行為の代理など,監護以外の部分について権利と義務を負うことになります。
ただし,親権と監護権を分離することは,離婚後も子をめぐる父母間の対立が続く原因となる可能性があり,必ずしも子の福祉にとって望ましいとは言えません。そのため,裁判所は,例えば親権者に財産管理を任せることが不適当であるなど,分離を認めるべき特別な事情や積極的な必要性がない限り,その分離に慎重な姿勢をとる傾向があります。
2024年民法改正による「監護の分掌」
2024年の民法改正では,新たに「監護の分掌」という制度が導入されました。
これは,監護権のすべてを分けるのではなく,例えば「教育に関する事項」や「養育計画に関する事項」など,監護に関する特定の事項について,どちらの親が決定権を持つかを分担するものです。特に共同親権を選択した場合で,特定の事項について共同での意思決定が難しい場合に,この定めをすることが考えられます。
