財産分与
Q1 離婚する際,婚姻期間中に夫婦で取得した財産を分けてもらうことは可能でしょうか。また,そのためにはどのような手続をとればよいのでしょうか。
離婚をする場合,夫婦の一方は相手方に対して,婚姻中に協力して築いた財産の分与を請求することができます(民法768条1項)。これを財産分与請求権といいます。
財産分与は、夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配、離婚後の生活保障、離婚原因を作ったことへの損害賠償(慰謝料)といった性質が含まれると解されていますが、特に夫婦共有財産の清算が基本的な要素と考えられています。
財産分与の方法や額は、まずは夫婦間の協議によって決めます。協議が調わない場合や協議ができない場合には、家庭裁判所に財産分与の調停または審判を申し立てることができます。また、離婚訴訟と同時に財産分与の申立てをすることも可能です。
なお、法改正により、家庭裁判所への財産分与の請求は、離婚の時から5年を経過するまで可能となりました。以前の2年という期間から伸長されているため注意が必要です。
Q2 離婚にあたって,夫に財産分与を請求したいのですが,どのような財産が対象となるのでしょうか。
財産分与の対象となるのは、婚姻中に夫婦が協力して取得・維持・形成した「実質的な共有財産」です。預貯金や不動産などの名義が夫婦の一方になっていても、それが婚姻中の協力によって得られたものであれば財産分与の対象となります。
具体的には、以下のようなものが対象となります。
- 預貯金、現金
- 不動産、自動車
- 有価証券(株式など)
- 保険の解約返戻金
- 将来支払われる退職金(受給の蓋然性が高い場合)
一方で、夫婦の一方が婚姻前から所有していた財産や、婚姻中に親族からの相続・贈与によって得た財産は「特有財産」と呼ばれ、原則として財産分与の対象にはなりません。また、別居後に各自が形成した財産も、夫婦で協力して築いたものとはいえないため、原則として対象外です。
Q3 財産分与の額や割合はどのように決定されるのですか。私は専業主婦で収入もないのですが,夫に対して財産分与を請求することはできるのでしょうか。
専業主婦(主夫)であっても、家事や育児などを通じて他方の財産形成に貢献していると考えられるため、財産分与を請求することは可能です。
財産分与の額や方法は、家庭裁判所が判断する場合、「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情」を考慮して定められます。この「一切の事情」には、離婚後の扶養の必要性や慰謝料的な要素などが含まれることもあります。
財産形成に対する貢献度(寄与の程度)については、裁判実務上、特段の事情がない限り夫婦間で等しいとする「2分の1ルール」が一般的です。令和6年の民法改正では、この点がより明確にされ、直接収入を得るための就労だけでなく、家事労働や育児の分担なども寄与に含まれ、夫婦双方の寄与の程度が異なることが明らかでないときは、その割合は相等しいもの(原則として2分の1ずつ)とすることが規定されました。
