養育費
Q1 養育費の具体的金額はどのように決まるのですか?
養育費の具体的な金額は、まずは父母間の協議によって決めるのが原則です。その際には、金額、支払時期、支払期間、支払方法などを具体的に定め、後日の紛争を防ぐために書面に残しておくことが推奨されます。
父母間の協議で合意に至らない場合は、家庭裁判所の調停や審判で決めることになります。現在の家庭裁判所実務では、養育費の算定にあたり「養育費・婚姻費用算定表」(以下「算定表」)が広く活用されています。
この算定表は、標準的な養育費を簡易迅速に算定することを目的としており、父母双方の収入、子の人数、子の年齢に応じて金額が分かるように作られています。主な特徴は以下の通りです。
2019年12月の改定
社会実態をより反映させるため、最新の統計資料に基づき改定版が公表されました。基本的な算定方法は維持しつつ、全体的に養育費額が増加する傾向にあります。
個別事情の考慮
算定表は標準的な事情を既に考慮して金額に幅を持たせていますが、算定表によることが著しく不公平となるような特別な事情がある場合には、金額が調整されることがあります。
また、2024年5月の法改正により、家庭裁判所は、子の監護費用に関する審判事件において、必要があると認めるときは、当事者に対して収入や資産の状況に関する情報開示を命じることができるようになりました。正当な理由なく開示しない、または虚偽の情報を開示した場合には、10万円以下の過料に処せられることがあります。
Q2 夫とはすでに離婚しており,子供の親権は私が持っています。最近,私の収入も減り,生活していくのが精一杯で,子供の養育費を元夫に支払ってもらいたいと考えています。離婚後ですが,夫にも養育費を請求することができますか?
離婚後であっても、元夫に対して養育費の分担を請求することができます。養育費の支払義務は、親権の有無や同居の有無にかかわらず、子どもの親であるという関係性そのものから生じる責務だからです。
特に、2024年の民法改正により、離婚時に養育費の取り決めをしていなかった場合でも、一定額の養育費を請求できる「法定養育費」の制度が新設されました。
- 請求権者:離婚のときから引き続き子どもを主として監護する親
- 金額:子どもの数に応じて法務省令で定められ、子ども1人につき月額2万円です。
- 性質:これはあくまで、父母の収入などを踏まえた適正な養育費の取り決めがされるまでの、暫定的・補充的なものです。
したがって、まずはこの法定養育費を請求しつつ、並行して父母双方の収入等の事情に応じた、より適正な金額の養育費について協議や調停を進めることが重要です。
Q3 調停や審判で決められた養育費の金額を増額させることはできますか?
一度決まった養育費の額でも、その取り決めの基礎となった事情に後から変更があり、現在の金額が実情に合わなくなった場合には、増額または減額を求めることができます。
増額を求める場合、まずは相手方と話し合い、合意できなければ家庭裁判所に増額を求める調停や審判を申し立てます。裁判所は、事情の変更の有無や内容、双方の経済的な状況などを総合的に考慮して判断します。なお、2019年に算定表が改定されましたが、この改定自体が直ちに養育費を変更する理由となるわけではありません。しかし、他の理由で事情変更が認められた上で養育費を再計算する際には、改定後の新しい算定表が用いられることが期待されています。
